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2015年3月18日水曜日

モリエール 『才女気取り』1659年




才女気取り モリエール
1659年発表

Molière - Les Précieuses ridicules - Comédie Française 1997


パリに出てきたばかりのお上りさんである、二人の女性(従姉妹)は、下級貴族です。父親は中流貴族の男と結婚させることを目論んで成功目前でした。しかし、この二人の女性は、お高い貴族趣味をもっています。彼女たちは最上流の貴族文化にあこがれ夢見ています。しかし、それは時代遅れの夢見るような、古びた貴族文化のようです。二人は、本物の中流貴族の男に貴族文化を見いだせないという理由から、冷たく振ってしまいます。さて、この貴族の男たちが復讐のために送り込んだ下男二人ですが、彼らもこの上ない貴族趣味を持っています。二人の女と二人の男は同じ貴族趣味を共有していて意気投合します。しまいにはこの下男二人は、図に乗って、この女二人ともその場でものにしようとまでします。

階級の下から上まで王侯貴族の文化にあこがれ、夢見て模倣します。しかし、貴族には、貴族の文化とともに、他方では権力もあります。文化と権力、二つあるのです。文化には憧れがあり、権力には恐怖があります。この権力には逆らえないのです。当時は、権力は、絶対的であり、絶対に逆らえない、有無を言わせない、怖いところがあります。権力は時には暴力となって猛威を振るい、痛い目に遭わせます。当時は絶対王政へと向かう時代でもあることから、社会的基盤、階級社会もがっちりしているようです。また父権も強いものがあります。

Molière - Les Précieuses ridicules - Comédie Française 1997