ダンテ『神曲 地獄篇』第9歌
ウェルギリウスは、自らの力が及ばない先ほどの状況について怒りのそして不安の面持ちであり、ダンテは彼に大丈夫かと尋ねると、大丈夫という返事。ただしどうしてもこの戦いに勝たねばならないと話します。そこにフリエという3匹の恐ろしい怪物が現れ、メデゥーサを呼んでダンテを石に変えてやるぞと脅かします。するとメドゥーサが現れます。この脅威に対して、ウェルギリウスはダンテを後ろ向きにさせ、手で目をふさいでくれました。そこに天の使者が現れ、メドゥーサをしかりつけ、退散させ、ダンテたちにはろくに言葉をかけず、この場にいるのもいとわしい、早く天に戻りたいというふうに、さっさと天に帰っていきました。
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解説p538を読みますとにアレゴリー解釈について述べられています。アレゴリー解釈とは字義通りとは別の次元での解釈のことであり、ここでは「歴史的」「倫理的」「神の存在にかかわる」という別々のレヴェルが挙げられています。
メドゥーサは絶望であり、信仰の否定です。それに対して、ウェルギリウスは理性は持つが信仰は持たないために、メドゥーサに対処しきれないのです。ウェルギリウスはダンテを後ろむきにして、目をふさぐことしかできないのは、結果としては信仰の盲目状態に相当するものともみなせます。
そこに神の使いである天使が現れることで、はじめてメドゥーサを追い払うことができました。