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2018年7月5日木曜日

2.【自由に向けての渇望と焦り】Une Vie『女の一生』



 前回の続きのところです。これも意訳です。

 「ジャンヌは、前日に修道院( le couvent)から出て来たばかりでした。彼女はこれからはずっと自由なのですから、人生にまつわるあらゆる幸福をつかみ取れるような気持ちになっていたのです。彼女は修道院のなかで、ずいぶん前からそれを待ち望んでいて夢見ていました。ですから、天候がよくならないために父親が出発をためらって延期させるのではないかとジャンヌは気が気でなくて、朝から100回は地平線を見ては天候がどうなるのか様子をうかがっていたのでした。」


Jeanne, sortie la veille du couvent, libre enfin pour toujours, prête à saisir tous les bonheurs de la vie dont elle rêvait depuis si longtemps, craignait que son père hésitât à partir si le temps ne s’éclaircissait pas ; et pour la centième fois depuis le matin elle interrogeait l’horizon.

 このようにジャンヌは、修道院から出て、せき立てられるように、そして焦るように、自由と幸福を渇望しているのです。ジャンヌの先へ先へと急ぐ傾向が、間違った道へと進んでしまう伏線にもなっているようです。同時にまた初々しい希望に満ち満ちています。この初々しい希望が悲劇性を高めます。