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2018年8月5日日曜日

5.貴族的で初々しいジャンヌの容姿:une Vie『女の一生』


 ジャンヌは、17歳、髪の毛はブロンド、瞳は濃いブルー、肌はわずかにバラ色がかっていました。「貴族的な肌」ということですから、透き通るように白くてとても滑らかだということなのでしょう。背は高く、胸も大きく、腰の線はくびれていました。左の小鼻と顎の右側に小さな黒子があります。彼女の笑い声は周りの人々をも幸福にするほどでした。
 このように彼女の外観は良いことづくめとして描かれています。この時代の理想的な女性像なのでしょう。とりわけ強調しておきたいのが、貴族的な初々しさです。これは後々に破産にまで至る一連の不幸な出来事の中で、ジャンヌが早々に老け込んでしまって、著しく女性性が劣化するのと対照的です。貴族の血を受け継ぐのに相応しいジャンヌの身体的特徴の優位性が完全に崩壊するのは、貴族の凋落(ちょうらく)と機をいつにしています。